研究概要 |
本研究は水道原水中に存在する有機、無機の懸濁質の表面電位が負に帯電している特性を活かし、膜ろ過の過程で膜に直流電気を流し、膜を負極にすることで、電位反発力を利用し、懸濁質の除去ができるのではないかという点に着目し開始したものである。 平成7年度の実験で膜ろ過を行う際に膜に負の電荷を印加すると、電位の反発力でトリハロメタン前駆物質であるフミン酸の除去率が高まることが確認できた。 平成8年度の研究は前年度の知見を踏まえて、実用化を念頭に置き、ろ過方式を膜表面撹拌を伴ったデットエンドろ過からクロスフローろ過に変え、新たに開発した円筒状の膜ろ過体を用い、円筒管中心部に陽極を配することで実装置に近づけて実験を行った。 実験は市販のフミン酸を3mg-TOC/Lに調整した人工原水を用い、セラミックにプラチナをスパッタリングしたMF膜を用いた実験、および腐葉土から抽出したフルボ酸を溶解させたものを原水として、カーボン製のUF膜を用いた。 その結果、MF膜、UF膜とも電気印加にともにないTOC,E260ともに除去率が上昇し、TOC除去率はMF膜では75mAで76%、UF膜では30mAでほぼ100%に達した。しかし、膜構造上の差から、MF膜では透過流束は電気印加とともにやや大きくなる傾向が得られたが、UF膜では透過流束で低下し、30mAでほぼゼロになった。これは今後の検討課題である。
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