平成7年度は、以下のように「視点の構造特性の把握」調査として、学生の設計課題での設計プロセスの調査を行い、プロトコル・スケッチ・図形データを収集した。この調査では、「視点」の類型を空間を創るときの「単語」と捉えると、それが集まってつくられる「文章」としての空間がもつ特徴とその創造作法を解明することが目的である。調査では、この「視点」を手がかりに、「視点」が設計プロセスの中でどのように出現し、それがどのように組み合わされて空間として統合されるのかを捉えようとしている。 1.視点の構造特性の把握調査:建築学科3年生の課題「音楽ホール」を対象として、サンプリングされた学生10人の設計プロセスを調査した。設計の課題全期間にわたって各自のエスキース(8週間)を採取し、プロトコルデータとスケッチ・図形を収集した。 2.視点の4要素へのデータ変換:以上の調査から収集されたプロトコルデータは、データの変換が行われた。特に、「視点」の4要素「見る対象」・見る位置」・「見方」・設計する対象」が特定できるデータは、視点のプロトコルデータとして、設計プロセスの時間軸上に整理された。 3.図形データのデータ変換:収集したスケッチ(エスキース時点でのラフスケッチ等)と設計図(平面図・立体図・パース)等の図形データは、それぞれのタイムテーブルをもとにして、2.でつくられたプロトコルデータとの対応付けを行いながら、設計プロセスの時間軸の順に並べ直されて整理された。ここでは、生成された空間の繋がり(空間軸)の初期に図形データが創造されるときに、大きく分けて3つの類型が確認され、その類型毎に空間の発展のあり方が異なっていることが捉えられている。
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