研究概要 |
L1_2型規則状態を記述するに必要かつ十分な規則度パラメーターの要素の数は、平均組成の他には3つである。当初の計画では、3つの要素で定式化を行う予定であったが、4つのバリアントを直接記述するために4つの要素をもつパラメーターとした。その結果、Pottsモデルに類似した形になった。しかしながら、この4つの要素は、L1_2を基本とする限り完全には独立ではない。それから派生する束縛条件とPottsモデルからの式に含まれているviolation termとの関連は今のところ明らかではないが、この問題は、3つの要素での定式化の結果と対応すれば解決できるはずである。現在、解決に向けて研究を進めている。 周期的逆位相境界の安定性を考慮に入れた速度式の導出を試みた。まだ完全ではないが、L1_2→L1_<2-S>の変化をある程度再現することができた。これはこれまで初めて得られた画期的な成果である。速度方程式の基本的な形は確定できたので、現在は逆位相境界の周期性によるエネルギー利得を2次元のフーリエ成分で記述するように方程式の改良を試みている。 Cu_3Pt合金を用いて、L1_2→L1_<2-S>, L1_2→L1_<2-S>+A1, L1_2→L1_<2-S>+A1変態過程について透過電子顕微鏡によるその場観察実験を行い、各変態過程における組織変化を明らかにした。その結果、不規則化は熱的な逆位相境界から優先的に進行すること、熱的な逆位相境界が湾曲して周期的逆位相境界になること、L1_2→L1_<2-S>+A1の反応では一旦L1_<2-S>になってからL1_<2-S>+A1に相分解することがわかった。現在、これらの組織変化を再現すべく、我々の速度方程式によるシミュレーションを行っている。
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