平成7年度までに、種々の市販あるいは実験室において調製した酸化チタンにその活性を検討した結果、液相系光触媒反応に大きく影響をおよぼす触媒の物性は、表面積と結晶化度であることが明らかになった。表面積が大きいほど、反応基質の吸着量が多いので活性は増大する。一方、半導体の結晶化度が高いものほど、結晶欠陥が少なく、そのため、励起電子と正孔の再結合が抑制されるので活性が向上するものと思われる。したがって、高活性な酸化チタンの条件が「表面積が大きく、かつ結晶化度が高い」であるという作業仮説は、いずれの酸化チタンも用いた反応系の場合でも適用できることを確認した。しかし、結晶化度と表面積は互いに密接に関係するうえ、おおまかにいえば逆方向に作用するため、高活性化の戦略は単純ではない。このような条件を満足する酸化チタンを調製することは、従来法、すなわち一旦水酸化チタンあるいはオキシ水酸化チタンを調製してからこれを焼成する方法ではほぼ不可能であるとの結論に達したので、新規な方法を模索したところ、まったく新しい金属酸化物調製法であるHyCOM(Hydrothermal Crystallization in Organic Media)法が、高表面積で、かつ結晶化度の高い酸化チタン粉末の調製を行うためにきわめて有効な手法であることが明らかになった。平成8年度は、さらに新しい調製法として、チタンアルコキシドの直接熱分解法(Thermal Decomposition:TD法)と、アルコールを溶媒をとして用い、加熱により発生する水を利用する移動加水分解法(Transfer Hydrolytic Crystallization in Alcohols:THyCA法)を開発し、その光触媒活性を検討した。その結果、白金を担持させた無酸素下の反応と無担持での酸素共存下の反応の両者について、過去最高の光触媒活性を得た。
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