研究課題/領域番号 |
07805090
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
資源開発工学
|
研究機関 | 秋田大学 (1996) 東北大学 (1995) |
研究代表者 |
JEYADEVAN B. 秋田大学, 鉱山学部, 講師 (80261593)
|
研究分担者 |
田路 和幸 東北大学, 工学部, 助教授 (10175474)
藤田 豊久 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (70124617)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
キーワード | 炭素コーティング / 金属粒子 / 磁性粒子 / アーク放電 / 界面活性剤 / オレン酸ナトリウム |
研究概要 |
一般に金属微粒子の工学的重要性は非常に高いが、表面が酸化されやすく安定性に欠けるという問題がある。酸化雰囲気中でも安定な物質であるカーボンを、粒子表面に被覆することによって、安定性を保つことができると考えられる。本法では、カーボンの原料となる界面活性剤を粒子表面にあらかじめ被覆しておき、アーク放電により炭素化して粒子表面の被覆保護を試みた。実験では、平均粒径10nmのマグネタイトを調製し、その表面に界面活性剤の一種であるオレイン酸を吸着させた。この微粒子を放電部から約30mm離れた位置に置き、放電による還元でカーボン被覆を行った。微粒子のキャラクタリゼ-ショは、TEM、FTIR、XRD、XPSを用い、放電の前後で比較を行った。その結果、マグネタイト微粒子への影響は無く、粒子表面に吸着させたオレイン酸のみが還元され、グラファイトに似た層を形成していることが解った。また、耐酸性も向上した。今年度は、磁気テープ等に実用化されている微粒子径(平均0.2μm)をもつマグネタイト微粒子をシッコル反応により調製し、同様の実験および分析を行った。その結果,10nmのマグネタイト粒子の場合と同様、界面活性剤のオレイ酸は完全に還元され、微粒子表面にカーボン層を形成した。特に、粒径を大きくしたことにより、粒子表面での炭素層がどのような状態で存在しているかをSEMにより直接的に観察できるようになった。そこで、カーボン層の形成における界面活性在の影響を調べるため、Aerosol OTを用いて同様の実験を行い、オレイン酸ナトリウムの場合と比較した。さらに、安定性を目指す金属微粒子を用いて、本法の有効性を調べた。その結果、金属微粒子についても、粒子表面に均一な層の存在が確認できた。また、塩酸溶液中の溶解実験および塩酸雰囲気耐酸化実験の結果は、カーボン被覆処理の回数が多くなるにつれ安定性の向上が見られた。また、幾つかの界面活性剤を検討した結果、オレイン酸ナトリウムからのカーボン被覆が、最良であることがわかった。しかし界面活性剤を原料とした金属粒子へのカーボン被覆の欠点は、完全な保護膜を得るのに繰り返しの処理が必要であることである。これは、金属粒子あよび炭素表面に強い吸着性を持ち、大きな断面積および鎖の長い界面活性剤の選択により解決できるものと考える。
|