インゲンマメの小葉運動は、光照射により葉枕表面でそれを受容し、いくつかのPass Wayを経て、葉枕内部における運動細胞の可逆的な伸長と収縮により行うものと考えられる。本研究の目的は運動時に見られる葉枕表面の電位変動が受光反応に由来するものか、あるいは細胞の伸縮にみられる起動反応に由来するものかを明らかにすることである。 本年度の研究はN_2ガスを充満したチャンバー中にポット植えの植物体全体を入れ、小葉運動と葉枕表面の電位変動の白色光照射に対する反応を呼吸抑制状態で見ることが目的であった。この実験は光照射を行うため、十分に換気の出来ない暗室で長時間行わなくてはならない。N_2ガスがチャンバー外に漏れると生命に危険な状態にもなりかねないので、ガスの漏れない安全なチャンバーが求められた。特別注門のガスチャンバーは500×500×700mm(175リトル)でかなり容量が大きく、正面のみが厚さ10mmのアクリル樹脂でその他の部分の厚さは10mmの塩化ビニール製である。周到な設計と製作および改良を重ねて来たが、いまだガスもれを完璧に防ぐには至っていない。 今後さらに改良を重ね、完璧にガスのもれないチャンバーを製作し、当初の実験計画どおり、呼吸が抑制された状態で小葉の運動およびそれと葉枕表面の電位変動との関係を明らかにする予定である。さらに次年度の計画である波長の異なる光照射の実験における呼吸抑制状態の小葉運動および葉枕表面の電位変動の反応から、小葉運動と葉枕表面の電位変動との生理学的関連性が明らかになるものと思われる。
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