インゲン根腐病菌(Fusarium solani f. sp. phaseoli)の大型株と小型株のDNA構造をAlternaria alternataのrDNAをプローブに用いたRFLP法、rDNA-ITS領域のPCR-RFLP法、およびRAPD法を用いて解析した。その結果、いずれの場合も大型株と小型株の間でバンドパターンが異なり多型が検出された。次に大型株と小型株の塩基配列がどのように異なっているかを知るために、rDNA-ITS領域の塩基配列を決定し比較した。その結果、大型株の塩基数は528に対し小型株は527と1塩基分小型株の方が大型株より少なかった。大型株同士で塩基置換が2カ所認められ2つのタイプに分けられた。小型株はいずれも同じ配列を示した。また、小型株の配列はFusarium solani f. sp. pisiの配列と一致した。大型株と小型株の配列を比較したところ、ITS1領域で置換14、欠失4および挿入1、5.8 S-rDNA領域で置換3、ITS2領域で置換11、欠失2および挿入4があり、全体で39カ所の違いが認められた。大型株に化学処理して得た小型株を再度化学処理したところ再び大型株を得ることができたが、このような胞子型の変化に伴ってDNAの塩基配列も大型株のパターンと小型株のパターンに可逆的に変化することが明らかとなった。大型株で認められた2種類の配列はO′Donnel and Gray(1995)がアメリカ産の菌株で得た4種のタイプのうちの2種と同一だった。
|