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1996 年度 実績報告書

D-リボーストリベンゾエ-ト誘導体による好中球の接着および活性酸素生成阻害

研究課題

研究課題/領域番号 07806012
研究機関三重大学

研究代表者

柏村 直樹  三重大学, 生物資源学部, 教授 (20026412)

研究分担者 西川 司朗  三重大学, 生物資源学部, 助教授 (50024592)
キーワード脂溶性糖質誘導体 / 細胞接着阻害 / がん転移 / 好中球 / 抗炎症作用 / 血管内皮細胞 / 接着分子 / がん細胞浸潤
研究概要

細胞接着は、がん細胞の接着、転移、白血球がひき起こす炎症に深く関連し、細胞の内外の情報伝達機構を明らかにする上で重要であり、また接着を阻害する物質の研究は、抗炎症剤・抗がん転移剤の開発の基礎となる。本研究は、これまでの細胞接着を阻害する多くの薬剤が脂溶性の低分子化合物であり、また、糖質が可能なあらゆる形の分子種として存在し、またその合成が可能となっているにも拘わらず研究が少ないことに着目し、細胞接着を阻害する新規な脂溶性糖質誘導体を探索し、その阻害機構を明らかにし、また、抗炎症作用や抗がん転移作用を調べることを目的とした。
用いられたスクリーニング法は、in vitroでは、好中球の血管内皮細胞およびKLHに対する接着の阻害、好中球の活性酸素生成阻害、および血管内皮細胞の接着分子ICAM-1等の発現阻害であるが、in vivoは、ラットの耳浮腫治癒効果テストなどを用いた。これらの試験に用いられた糖質誘導体は、合成標品や天然標品の単糖、オリゴ糖、および多糖誘導体約500種であり、濃度10^<-4>-10^<-6>Mにおける阻害活性を調べた。その結果、約7種の強い活性を有する糖質が見出され、その内、リボーストリベンゾエ-ト類3種についてTK-50と命名し、さらに詳しい研究を行った。
まず、TK-50の構造を、置換基、糖の基幹構造、脂溶性等の変換を行ったところベンジル基の有効性が証明され、つぎにアルドペントフラノース環(キシロ、アラビノ、リボ)が共通骨格として効果的であることがわかった。In vitroの活性として上記の抗炎症作用が示された。また、TK-50はすでに報告されていたトリベンジルグルコフラノシドとは異なった抗炎症作用を示すことが、起炎剤の種類を変えることによって明らかにされた。
つぎに、フィブロブラストやがん細胞HT1080の接着や浸潤阻害を調べたところ、強い活性を有することがわかった。一方、細胞毒性は、LDHやMTT法で調べた結果では、10^<-4>M以下では、細胞によって異なることがわかった。白血球、内皮細胞に対しては毒性がなかった。観察された細胞接着・浸潤阻害や接着分子発現阻害の作用機構については、現在のところ不明であるが、プロテインキナーゼ阻害、チューブリン(神経細胞)伸長阻害、メタロプロテアーゼ阻害は全く見られなかったことから、従来の多くの細胞接着阻害剤の作用機構とは異なり、細胞膜中の接着分子またはNADPHオキシダーゼへの影響か、redox制御に敏感なNF-κBなどの転写因子への影響ではないかと考察した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] N.Kashimura,M.kitagawa,S.Deguchi,J.Tsuji,et al.: "Inhibitory effect of some tri-O-benzoyl-D-ribose derivatives on neutrophil adhesion and its oxidative burst" Carbohydrate Letters. 1. 261-268 (1995)

  • [文献書誌] 柏村 直樹、北川 優: "細胞接着阻害活性を有する新規糖質誘導体の分子設計 第1報、部分置換ペントースおよびヘキソース誘導体による接着阻害作用" 三重大学地域共同研究センター研究報告. 3. 129-136 (1995)

  • [文献書誌] 柏村 直樹、野間 誠司、北川 優、出口 修平、他: "3位に置換基を有するヘキソース誘導体の好中球接着阻害作用" 三重大学生物資源学部紀要. 16. 39-44 (1996)

  • [文献書誌] 柏村 直樹、北川 優、辻 淳一、野間 誠司、他: "二、三の脂溶性単糖誘導体の細胞接着阻害作用" 第17回糖質シンポジウム、要旨. 221 (1995)

  • [文献書誌] 柏村 直樹、北川 優、野間 誠司、辻 淳一、他: "脂溶性糖質誘導体の血管内皮細胞接着分子発現およびがん細胞接着におよぼす影響" 第18回糖質シンポジウム、要旨. 13-14 (1996)

  • [文献書誌] N.Kasimura,M.Kitagawa,J.Tsuji,S.Noma,et al.: "Inhibitory Effect of some lipophilic monosaccharide derivatives on in vitro cell adhesion systems" Inflammation Ressearch. 44. s246 (1995)

  • [文献書誌] N.Kasimura and M.kitagawa: "Structure activity relationship study of some anti-inflammatory lipophilic carbohydrate derivatives" 2nd Euroconference on carbohydrate mimics,abstracts. pC34 (1996)

  • [文献書誌] N.Kasimura,M.Kitagawa,S.Noma,J.Tsuji,et al.: "Novel inhibitory effect on cell adhesion and antiinflammatory activity of some psrtially protected carbohydrate derivatives" XVIII International Carbohydrate Symposium,Abstracts. p561 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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