1.ラット臓器中のドリコール含量にたいする食事タンパクと加齢の影響 1か月齢のオスラットに15%(W/W)の脂肪を含むカゼイン食あるいは大豆食を18カ月間与え、腎臓、脾臓、心臓、脳におけるドリコールの蓄積に影響があるかどうかを調べた。いずれの臓器に置いても普通固形食より実験食の方がドリコール含量は高く、脾臓では肝臓の場合と異なり大豆タンパク質食の方が有意に高かった。ドリコールの場合は脾臓に於いてのみエステル型が食事によつて大きく影響を受けた。 加齢に伴うドリコールのイソプレンユニットの変化の仕方は、2つのタイプに分けることができた。即ち、肝臓、心臓、脳の場合は加齢とともに漸次長鎖(20や21ユニット)が減少し、逆に短鎖(17や18ユニット)が増大した。しかしながら、腎臓や脾臓では2カ月齢まで変化し、あと19カ月齢まで変化しなかった。 2.ラジカル反応によるプレノールの分解 (1)紫外線照射:プレノールは時間と共に分解されるが、魚由来のリン脂質の存在でその分解は促進された。少なくとも炭素数10ケ以上の長鎖アルコールに転換されず、かなりの低分子に分解されたものと推測された。 (2)過酸化反応:ヒドロキシラジカルによるプレノールの酸化反応をリン脂質の存在下で調べた。魚由来のリン脂質存在下では、飽和脂肪酸から構成されるリン脂質やリン脂質非存在下よりもかなりはやい速度でプレノールは分解された。少なくとも炭素数10ケ以上の長鎖アルコールは検出されなかった。従ってこの場合もかなりの低分子に分解されたものと考えられた。 以上のことより、プレノールは多価不飽和脂肪酸の過酸化反応に伴って酸化反応を受け分解されるものと考えられた。 3.酵母にドリコール脂肪酸エステルの存在は報告されていなかったが、今回Saccharomyces cerevisiaseに中性ドリコールの35%が脂肪酸エステル型であることを見いだした。
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