1.山村の過疎化に関する文献の収集 東京大学図書館などで資料を収集するするとともに、その過程で山口素光氏(岡山大学文学部教授)による山村からの流出者に関する一連の研究報告書(「山村社会の変貌と追跡調査による挙家離村者の生活の実態に関する研究」など)を入手することができた。流出者に関しては、平成8年度以降に調査を実施する予定であるが、従来はほとんど調査・研究が行われていなかった分野であり、本研究の前進に寄与するものと思われる。 2.地域調査の実施 海山町役場・海山町郷土資料館・速水林業などで資料収集と聞き取り調査を実施した。「海山町史」、「海山町地区別人口動態調査票」、「速水家土地台帳」などの資料を収集するとともに、海山町および同町河内集落の林業を中心とする経済・社会の歴史について聞き取り調査を実施した。そのなかで、河内集落の昭和35年から昭和60年までの人口減少率が20%であり、厳密な意味では過疎地域でないことが判明した。 3.集落調査の実施 海山町河内集落について、聞き取り調査とアンケート調査(48世帯中入院者などを除く40世帯)を実施し、集落における戦後における社会・経済の歴史および住民の生活・意識に関する実態を明らかにした。 4.流出者のリストの作成 アンケート調査を実施するなかで、不十分な結果ではあったが、海山町河内集落の1950年代以降の流出者のリスト(28世帯、54名)を作成し、平成8年度予定の流出者追跡調査の準備を整えた。
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