1.山村の過疎化とその対策に関する文献の収集 山村の過疎化とその対策について検討していくために、以下の2点を主要な課題として、東京の林業文献センター、林野資料館などで資料収集を実施した。(1)コモンズ(共同体)の解体が過疎化と深い関係にあるという視点から、山村と入会林野の歴史を整理するとともに、新しいコモンズを構想することによって過疎対策の展望をみいだす。(2)山村の社会経済に大きな影響を与えている林業財政の動向を整理し、今後の課題を示す。 2.地域調査の実施 山村の過疎化とその対策について、三重県海山町および宮川村において聞き取り調査および資料収集を実施した。海山町においては、尾鷲林業地帯という先進林業地域における林業振興と山村対策の関係を中心に調査した。宮川村においては、町村の林業財政の現状と林家の複合経営について調査した。 3.集落調査の分析 昨年度実施した海山町河内集落の実態調査結果を分析して、三重県紀北地域の山村振興に関する提言に一部活用した。その際、かつての林業集落が子弟の多様な就業で過疎を免れていること、逆に林業事業体は労働市場を集落単位から複数市町村の範囲に広げることによって労働力不足を免れていることなどが明らかになった。 4.山村流出者調査の実施 宮川村檜原集落における流出者の概況について聞き取り調査を実施した。
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