今年度の主な研究目的は、Ko圧密用三軸セルの製作と制御システムの構築である。当初の目的は、十分果たす試験器が製作できたものと思われる。 しかし、泥炭土のせん断試験において、泥炭土そのものの材料の性質から、鉱物質粘性土の有効応力の原理を適応した考え方が困難かもしれないような結果を得た。それは、粘土を非排水状態でせん断する場合、せん断中に間隙水圧が上昇する。そのため、全応力から発生した間隙水圧を差し引いた有効応力を尺度に、各種の理論が構築されている。 しかし、泥炭土は、間隙水が豊富のことや植物の遺骸によって構成される間隙の構造から、せん断応力の発生による間隙の中に閉じこめられた間隙水の圧力が上昇する前に、間隙水は供試体外部に絞り出され、泥炭土を構成する植物の遺骸と間隙水が分離する。そのため、有効応力がせん断面に発揮されていると思われる主応力差最大の1/2をせん断強度とし、せん断強度の増加率を求めた。 その結果、実験値と測定値から求められた定数を理論値に代入して求めた、せん断強度増加率の一致が見た。 このような結果から、ここで提案した、せん断強度の定義は、一つの見解として採用してもよいのではないかと思われることが明らかとなった。 次年度では、泥炭土の中の有機物の構造と含有量が静止土圧係数やせん断特性にどのように反映しているかを考察する研究に発展させたいと思っている。
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