研究概要 |
我が国では肉用牛群の省力な放牧管理が求められている。このためには個別識別しながら自動的に体重計測する技術を開発することが重要であるが、一頭ずつ自動体重計に牛を載せることが肝要なため,今年度はベニヤ板と枕木による一頭分離装置と自動体重計を入口部と出口部で2機用いて実施した。この結果は以下のとおりである。 1.強制追い込みによる入口部における個体識別率は96.5%,体重計測率は81.1%であり,個体識別率は高くできるが,体重計測率は依然として80%代であった。給餌・飲水後に自然に出口部から放牧地に出ていく場合は,逆にゆっくりしすぎで個別識別率は87.3%,体重計測率は45.5%であった。ただ,昨年度に一部行った方法であるが,放牧地から自然にセンターに入ってくる時の入口部での体重計測率は96.0%と高率であったので,今後,このような方法で行う必要がある。 2.試験期間全体の日増体量は,黒毛和種のB1群,B2群,B3群及び日本短角種別にそれぞれ0.7,0.5,0.6,0.7kgであり,いずれも順調な結果であった。 3.発情牛の徴候として,12〜6kgの体重減と体重計上の通過順位が29〜39位下がる傾向があったほか,測定日の体重とその前3日間の平均体重との比を体重変化率とすれば,発情牛群は-2.4〜0.0%を中心に分布した。このように異常牛の判読は,体重変化率の微妙な差異から可能と思われたが,これを測定日に瞬時に発見できるソフト開発が必要である。
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