研究概要 |
実験肉芽組織に出現する新生毛細血管では、新生血管内皮細胞数の最大値は実験10日後に、また、新生周細胞数は最大値は実験15日後に認められた。これに対し血管内皮細胞胞・周細胞質突起相互陥入構造の最大出現時は実験15日後であった。 実験肉芽組織に出現する新生毛細血管を対象として抗血管新生因子抗体を用い三次元電顕免疫組織化学的に検討した。血管新生促進因子であるVEGFが血管内皮細胞胞・周細胞質突起相互陥入構造の一部で周細胞の細胞質内に分布していることが認められた。血管新生促進因子であるbFGFは新生血管内皮細胞の細胞核内に分布が認められたが、血管内皮細胞胞・周細胞質突起相互陥入構造とbFGFとの関連性は現時点では不明であった。血管新生抑制因子に関し特にTGFb,Plasminogen,Plasminogen Activatorの分布を検討した。TGFb,Plasminogenは血管内皮細胞胞・周細胞質突起相互陥入構造のみならず広く細胞間質に分布していた。これに対しPlasminogen Activatorは血管内皮細胞、周細胞のrERに分布していたが、これら両細胞間では一部の血管内皮細胞胞・周細胞質突起相互陥入構造に特異的な分布が認められた。このことから、血管内皮細胞胞・周細胞質突起相互陥入構造でPlasminogen Activatorで活性されたPlasminによって、非活性型TGFbが活性型TGFbとなり血管内皮細胞増殖阻害を発現させることが示唆された。 実験肉芽組織に出現する新生毛細血管を対象として抗PCNA抗体を用い三次元電顕免疫組織化学的に検討した。PCNAが細胞核内に分布する新生血管内皮細胞では血管内皮細胞胞・周細胞質突起相互陥入構造はみと認められなかった。
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