平成7年度の研究目標は、酸性線維芽細胞成長因子(aFGF)およびその受容体の副腎における局在を明らかにすることであったが、以下の通り、ほぼ目的を達成した。 1.aFGFの局在 副腎においては、副腎髄質においてaFGFのmRNAが発現し、aFGFペプチドが局在していることを見出した。さらに、免疫二重染色法により、aFGFはアドレナリン細胞に共存していることを発見した。 2.FGF受容体の局在 aFGF受容体のうち、1型受容体が主として副腎皮質の球状帯(Zona glomerulosa)に存在することを明らかにした。この部位は、体内の水、電解質バランスに関与することが知られており、aFGFが水、電解質バランスの調整に関与していることを示唆している。 以上の成果の一部は、1995年の米国神経科学会議、日本解剖学会近畿地方会で発表するとともに、現在論文投稿中である。 3.aFGFの生理作用 さらにaFGFの生理作用を調べるためマウスの腹腔内に投与したところ、メカニズムは不明であるがコリン神経に対する栄養因子作用を認めた。この成果はExperimental Gerontologyに、論文発表予定である。
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