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1995 年度 実績報告書

網膜組織形成時におけるムスカリン受容体及びATP受容体によるCa^<2+>動員

研究課題

研究課題/領域番号 07807006
研究種目

一般研究(C)

研究機関大阪大学

研究代表者

山下 勝幸  大阪大学, 医学部, 助教授 (20183121)

キーワード網膜 / カルシウムイオン / アセチルコリン / アデノシン三りん酸 / 受容体 / 細胞内情報伝達 / 神経発生 / 鶏胚
研究概要

発生初期の網膜においてアセチルコリンとアデノシン三リン酸(ATP)が細胞内カルシウム濃度を上昇させることを発見した。これらのカルシウム応答は薬理学的解析からムスカリン受容体とP_<2U>型プリン受容体を介することが明らかになった。また、細胞外液のカルシウムを除去しても細胞内カルシウム濃度上昇が生じることから、これらのカルシウム応答は細胞内カルシウムストアからのカルシウム放出による事が同定された。ムスカリン受容体とP_<2U>型プリン受容体からカルシウムストアへの細胞内情報伝達経路について解析した結果、両者の受容体ともG蛋白を介してホスホリパーゼCを活性化し、イノシトール三燐酸(IP_3)感受性カルシウムストアからカルシウム放出を起こす事を示唆する実験的証拠が得られた。さらに、両者の受容体の細胞内情報伝達経路に差が見られ、P_<2U>型プリン受容体に連関するG蛋白の少なくとも一部は百日咳毒素感受性であり、一方、ムスカリン受容体に連関するG蛋白は百日咳毒素非感受性であった。また、ホスホリパーゼCの阻害剤であるU-73122はATPによるカルシウム応答を抑制したが、U-73343はATP応答を抑制しなかった。これに対し、ムスカリン受容体によるカルシウム応答はU-73122とU-73343の双方により抑制された。両者のカルシウム応答間にクロストークが観察され、IP_3感受性カルシウムストアの一部は両者の応答に共通に利用されると思われた。カルシウムストアからのカルシウム放出後、細胞外からカルシウム流入が起こり、このカルシウム流入はZn、Ni及びLaにより抑制された。ムスカリン受容体とP_<2U>型プリン受容体を介するカルシウム応答は、細胞の増殖および分化が活発な時期に特異的に生じ、アセチルコリンとATPが細胞内カルシウムイオンを介して網膜細胞の増殖および分化を制御していると想定される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Sugioka,M.: "Ca^<2+> responses to ATP via purinoceptors in the early embryonic chick retina." J.Physiol.(Lond.). (印刷中). (1996)

  • [文献書誌] Sugioka,M.: "Developmental profile of glutamate-induced intracellular calcium rise in the early embryonic chick neural retina." Soc.Neurosci.Abstr.21. 537 (1995)

  • [文献書誌] Sakaki,Y.: "Calcium release from intracellular calcium stores by ACH and ATP receptors in the embryonic chick retina." Soc.Neurosci,Abstr.21. 1377 (1995)

  • [文献書誌] Sakaki,Y.: "Physiological properties of intracellular calcium stores in the embryonic retinal cell of chick." Jpn.J.Physiol.45. S127 (1995)

  • [文献書誌] 榊 洋子: "神経発生期の網膜細胞におけるCa^<2+>動員系の解析." 日本生理学雑誌. 57. 490-491 (1995)

  • [文献書誌] 山下勝幸: "網膜の発生とCaチャネル" 神経研究の進歩. 39. 828-836 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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