心筋由来L型Caチャネルα1サブユニットのcDNAは米国Tanabe博士のご厚意より無償提供された。本実験では、同cDNAを含むプラスミドをアフリカミドリザル腎由来細胞CV-1(COS細胞)に形質導入し、発現した野生のCaチャネルα_1サブユニット電流を細胞接着型の膜電位固定法を用いて記録し、その平均開閉時間、チャネルコンダクタンスを測定した。 その結果、発現したチャネルはジヒドロピリジンagonistによって開口時間が延長するL型Caチャネルの特徴を有し、Bay-K8644の存在で0mVにおける平均開時間は約2倍に増加した(Bay-K非存在下:0.32ms vs Bay-K存在下:0.77ms)。然るに、単一チャネルコンダクタンスは110mM Baイオンを通過時に16pSであり、この値はnative Caチャネルの22-25pSに比べて有意に小さい。チャネルのコンダクタンスを決定する部位はα_1サブユニット内に存在すると見なされているがその確認はなされていない。Caチャネル電流の不活性化がCaチャネルβサブユニットに依存するメカニズムが存在することは明らかであり、βサブユニットが何らかの機構を介してチャネルコンダクタンスに調節を加えている事がこの結果から示唆された。同結果は第46回西日本生理学会(平成7年10月20-21日)にて報告を行った。
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