研究概要 |
I まず、試料が量的に多く得られることから,ウシ大動脈を実験試料とした。 1.ウシ大動脈のホモジェナイズの条件をいくつか検討しショ精密度勾配で膜画分を分画した。 酵素活性で確認した細胞形質膜分画について、蛋白質のポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、さらにウエスタンブロッティング法により、これをニトロセルロース膜に転写して^<45>Caと反応させ、オートラジオグラフィーによりCa結合蛋白質の検索を行った。 2.この結果、いくつかの新しいCa結合タンパク質の存在が認められた。特にムラサキガイ足糸牽引筋のCa結合蛋白質(MCBP-450)とほぼ同じ分子量のCa蛋白質も存在する。但し、これらのCa結合タンパク質は現在の実験法では量的に著しく少なくさらに研究を進めるためには種々の困難がある。 3.種々の検討の結果この原因の一部は実験材料の大動脈にあると考えられる。つまり大動脈の多量の試料得られる反面、試料組織中に占める平滑筋細胞の量は著しく少ないことが問題であると考えられる。 II 次に、ウシ大動脈は試料の鮮度の問題(屠殺場より手に入れたため)と上記の試料組織中に占める平滑筋量の問題が考えられるため、電顕による組織化学的・生理学的実験データのあるウサギの大動脈、脳底動脈を実験材料とした。 1.ウサギ脳底動脈、頸動脈、大動脈、腹部大動脈、大腿動脈の各血管全体ホモジェネート^<45>Caオートラジオグラフィーを行った。 2.血管全体の^<45>Caオートラジオグラフィーでは大腿動脈にムラサキイガイ足糸牽引筋のMCBP450と類似の分子量のCa結合タンパク質が検出された。 3.現在細胞形質膜画分の調製を試みている。
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