研究課題/領域番号 |
07807010
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
橋口 利雄 東京医科大学, 医学部, 助教授 (90133363)
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研究分担者 |
橋口 美津子 東京医科大学, 医学部, 助手 (30246277)
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キーワード | 培養ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC) / ヒスタミン / 細胞形態変化 / roundness(真円度) / プロテインカイネースC / チロシンカイネース |
研究概要 |
ヒスタミン10μMは三相からなるヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)の細胞質Ca濃度変化を誘起した。最初に急激な細胞質Caの増加が起こり20秒以内でピーク(第1相)に至った。イ-ク応答に続いてプラトー相(第2相)が出現し、灌流を停止すると細胞質Caは急激に減少し、ヒスタミン灌流前の値より減少し、その後ゆっくりと回復した(第3相)。無Ca^<2+>/2mM EGTA液灌流中でのヒスタミン応答は、第一相のピーク応答は軽度の抑制を受けたものの出現したが、第2相の持続的細胞質Ca増加は消失し、細胞外からの持続的Ca流入がプラトー相を維持していることがわかった。ヒスタミンH_1受容体阻害薬promethazineは特異的にヒスタミン応答を抑制した(p<0.005)が、ヒスタミンH_2受容体阻害薬剤であるcimetidineは40μMの高濃度においても、ヒスタミンによるピーク応答を完全に抑制することはできなかった。形態変化では、ヒスタミン10μMはHUVECの一過性、細胞周辺部収縮を誘起し、細胞質アクチンフィラメントの消失および周辺部への凝集が観察された。この変化はH_1受容体阻害剤で阻害されたことから、H_1受容体を介したCa動員とPKCの活性化の関与が推察される。PKC活性剤、フォルボルエステル(PMA)は複雑な形態変化を誘起し、PKC阻害剤calphostinCで抑制されない第一相(松毬様集合形態)と抑制される遅延性の第二相(細長紡錘形流線型形態)からなることを既に報告した。二相性変化はPMA濃度非依存的であり、数秒投与によっても誘起された。またチロシンカイネース阻害薬であるgenisteinは、第二相のみを阻害した。さらにcycloheximdeでタンパク質合成阻害を行うことによってもこの第二相は阻害された。PMA誘起二相性形態変化はそれぞれ異なった機構により誘起されることが推測され、特に第二相の変化はチロシンカイネースと蛋白合成を介している可能性を示唆している。
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