研究概要 |
骨格筋の興奮収縮連関は筋鞘に生じた膜電位変化によりT管状にある膜電位センサー(ジヒドロピリジン受容体DHPR)のコンフォメーションが変化し、その結果筋小胞体にあるCa^<2+>遊離チャネル蛋白であるリアノジン受容体RyRが開状態になり、Ca^<2+>ストア-からCa^<2+>が放出され、筋収縮が惹起されると理解されている。哺乳類骨格筋ではRyR1アイソフォームが主要なRyRであるのに対し、哺乳類以外の脊椎動物骨格筋の大部分ではα-RyR, β-RyRと2種類のアイソフォームがほぼ等量ずつ存在する。我々はカエル骨格筋からこの2種類のアイソフォームを単離し、そのcDNAの塩基配列からα-, β-RyRは哺乳類のRyR1, RyR3に夫々合致度が最も高いことを示した。然らば膜電位センサーは1種類なのか2種類存在するのかを明らかにすることが本発明の目的である。 カエル骨格筋よりT管を多く含む膜小胞画分を常法により分画し、ジヒドロピリジン誘導体DHPの結合活性によりDHPRの存在を確認した。この検出に用いる[^3H]標識化合物のうち[^3H]PN200-110がS/N比が高く、有用であることが判った。筋ホモジェネートから得たミクロソーム画分のうちtriadを多く含むと云われる重い画分に[^3H]PN200-110結合活性が高いこと、[^3H]PN200-110結合のキネティクスなど結合の特性を明らかにした。次にDHPR精製の予備段階として膜から可溶化するための表面活性剤として何がよいのかを検討し、CHAPSよりdigitoninの方が活性維持の観点から良いことを明らかにした。可溶化したDHPRをWGA-Sepharoseで精製する段階でこのカラムへの吸着が弱く、吸着条件を検討中である。またカエル骨格筋のcDNAライブラリーからDHPRのα-subunitのcDNAをクローニングするべく実験を行っている。
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