我々はリボソーム蛋白(rp)遺伝子の変異が、種々のヒト遺伝病を引き起こす可能性があると考え、これらを明らかにするために現在rp遺伝子群の高精度染色体地図の作製を行っている。今年度に得られた結果の概要は以下の通りである。 1.ヒトリボソーム蛋白(rp)遺伝子のシークエンスに関するデータベースを構築し、これを用いて個々のrp遺伝子に対するSTS(sequence tagged site)を作製した。これらSTSをPCRのプローブとして用い、ハイブリッドマッピングパネルにより個々のrp遺伝子をヒト染色体にマップした。その結果、80種類あるrp遺伝子のうち71種について、その染色体を決定できた。これは、今までにマップが報告されているものが18種しかないことを考慮すると、たいへん大きな成果と考えられる。 2.酵母人工染色体(YAC)ライブラリーをPCRによりスクリーニングし、46種のrp遺伝子についてそのYACクローンを得た。最終的にrp遺伝子をインサートとして持つクローンの数は100種以上に達し、これらクローンの情報をもとにいくつかのrp遺伝子について詳細な染色体マッピングができた。 3.Radiation Hybrid Mappingパネルを、前述のrp遺伝子のSTSをプライマーとしたPCR法によりスクリーニングした。その結果56種の遺伝子についてRHマップの結果が得られ、ヒト染色体にマップできた。またこれらは、前述のYACを用いたマッピングの結果と合わせることにより、より信頼度の高いマッピングとなった。
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