研究概要 |
1.4F2抗原分子の構造を解析することを目的として,まず(1)4F2抗原のlight chainと考えられるhnRNP B1蛋白のcDNAを大腸菌で発現させ,レコンビナント蛋白を作製した。続いて,(2)hnRNP B1蛋白に特異的に反応するモノクローナル抗体2B2を作製した.(3)モノクローナル抗体2B2を用いた免疫沈降,2次元電気泳動法等により、細胞内ではhnRNP B1蛋白のTyrosineおよびSerine残基が,多段階的にりん酸化されることを明らかにした. 2.4F2抗原分子の生理的機能を解析することを目的として,(1)light chain(hnRNP B1蛋白)とsignle strand DNAとの結合を検討した結果,hnRNP B1蛋白はテロメア反復配列(TTAGGG)nと特異的に結合することを明らかにした.(2)hnRNP B1蛋白の細胞内局在を検討した結果、基本的に核内に存在するが,細胞によっては細胞膜上に発現されえることを明らかにした。(3)細胞膜上のhnRNP B1蛋白はDTTの還元剤でheavy chainとの結合が切れ容易に剥離流出することを明らかにした. 3.4F2抗原の病的な意義を解明することを目的として,(1)自己免疫疾患のモデルマウス2系統,MRL-lpr/lprおよびNewZealand-B/Wの解析を行った結果,抗4F2 light chain抗体が,MRL-lpr/lprには関与していないが,NewZealand-B/Wマウスでは、その腎病変発生に関与している可能性があることが明らかになった.さらに,(2)モノクローナル抗体2B2産生尾ハイブリドーマをマウスに移植した時に,自己免疫性腎病変が生じるか否か,現在検討を進めている. (以上の結果の一部は、第49回日本細胞生物学会にて発表した。)
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