研究概要 |
本年度申請継続研究では、特にヒト症例において、末梢血リンパ球にFas抗原が選択的に発現するか否かを蛍光顕微鏡レベルで、さらに電子顕微鏡レベルで解析した。 1.マラリア患者からの血液採取並びにFas抗原発現リンパ球の検出 熱帯熱マラリア患者より末梢血全血をヘパリン採取し、リンフプレップによりリンパ球を採取した。このリンパ球に一次抗体としてマウス抗Fasモノクローナル抗体、二次抗体としてFITC蛍光標識された抗マウス免疫グロブリンを反応させ、落射型蛍光顕微鏡で観察した。その結果リンパ球のおよそ1%にその表面に蛍光を発するものが検出された。健康人から採取したリンパ球ではFas抗体で染るリンパ球は観察されなかった。 2.リンパ球のアポトーシス像の解析 末梢血より採取した白血球に、マウス抗Fasモノクローナル抗体を反応させた後、二次抗体としてマイクロビーズ標識ラット抗マウスイムノグロブリンを反応させ、平成7年度供与備品の磁気細胞分離システムを用いFas抗原陽性の白血球を濃縮分離した。分離した白血球はグルタールアルデヒドで固定した後、透過型電子顕微鏡像を解析した。その結果、比較的高率に単核球の核の断片化やクロマチンの核内分布の変化が、マイクロビーズの接着を伴う像と共に認められた。 熱帯熱マラリア感染に伴うヒト単核球のアポトーシスへの誘導現象はPI染色法により報告されている(Toure-Balde,A.et al.,Infection and Immunity,1996)。しかしながらその像を形態学的に観察したのは、本申請研究によるものが最初の成果と考える。
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