1.マラリア感染マウス末梢血リンパ球のアポトーシス:実験マウスICRにマラリア原虫強毒株Plasmodium berghei NK65を接種し、感染後の経過で低寄生率群20匹(D-4)、高度寄生率群20匹(D-5)に分け、さらに対照群10匹(非感染群)をもうけて、末梢血リンパ球を個別の群ごとに分離・収集した。それぞれの群のリンパ球をマイクロビーズ標識anti-MLAL3T4(CD4)およびanti-MLALy2(CD8a)抗体と反応させ供与設備備品の磁気細胞分離システムを用いてマウスL3T4(CD4)ヘルパーT細胞と、マウスLy-2(CD8a)サプレッサーT細胞とに分けた。これらマーカー別に分けられたリンパ球のDNAをアガロースゲル上で泳動したところ、高度寄生率群のCD8a^+T細胞DNAにfragmentationを起こしたと考えられるladderが検出できた。 2.マラリア患者からの血液採取並びにFas抗原発現リンパ球の検出:熱帯熱マラリア患者より末梢血全血をヘパリン採取し、リンフプレップによりリンパ球を採取した。このリンパ球に一次抗体としてマウス抗Fasモノクローナル抗体、二次抗体としてFITC蛍光標識された抗マウス免疫グロブリンを反応させ、落射型蛍光顕微鏡で観察した。その結果リンパ球のおよそ1%にその表面に蛍光を発するものが検出された。健康人から採取したリンパ球ではFas抗体で染るリンパ球は観察されなかった。 3.リンパ球のアポトーシス像の解析:末梢血より採取した白血球に、マウス抗Fasモノクローナル抗体を反応させた後、二次抗体としてマイクロビーズ標識ラット抗マウスイムノグロブリンを反応させ、磁気細胞分離システムを用いFas抗原陽性の白血球を濃縮分離した。分離した白血球はグルタールアルデヒドで固定した後、透過型電子顕微鏡像を解析した。その結果、比較的高率に単核球の核の断片化やクロマチンの核内分布の変化が、マイクロビーズの接着を伴う像と共に認められた。
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