研究概要 |
単細胞性の藍色細菌Synechococcus sp.strain PCC 7942を使って、詳細な分子遺伝学的解析ができる生物時計の実験系を確立した。先ず発光藍色細菌を化学変異原EMSで処理し、概日性発光リズムに異常を示す多様な突然変異体(短周期変異、長周期変異、無周期変異、波形の変異など)を100クローン以上分離した(Kondo et al.,1994.Science 266:1233-1236)。次にこれらの変異体に野生型DNAライブラリーを遺伝子移入し、野生型の表現型に戻った相補体を分離した。さらに相補活性のある遺伝子を相補体から大腸菌にプラスミドレスキューで回収した。これらの遺伝子を解析した結果、多くの変異は三つのORF-D,-E,-F上に落ちること、そしてこれらのORFsが「時計オペロン」を構成することが判明した。ORF-F上には特に多くの変異がみつかり、あらゆる表現型の変異を示した。したがって、ORF-Fは時計機能の中核的役割を担っていると推定できる。遺伝子データーベースを検索したが、高い相同性を示す遺伝子はみつからなかった。三つのORFsは新規遺伝子である(Ishiura et al.,1996.in preparation)。
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