研究概要 |
我々は、HCV粒子は長さ7nmの繊細なスパイクを持つ直径約60nmの球形粒子であり、その内部に直径30〜35nmのコア粒子を有していることを明らかにし、英国紙Journal of General Virology,75,1755-1760,1994に論文を発表した。また、平成6年3月23日に朝日新聞社、日本共同通信社とNHKにこの研究結果を発表した。HCV粒子を有する浮上密度1.14〜1.16g/mlの分画をウイルス抗原として用い、遺伝子組み換えワクチニアウイルスの発現糖蛋白質(HCV-E2/NS1抗原,subtype 1b)を免疫原として作製したウサギポリクローナル抗HCV-E2/NS1抗体(RR-6)またはマウスモノクローナル抗HCV-E2/NS1抗体(6種類)を一次抗体として用いた。二次抗体にはヤギ抗ウサギIgGまたはプロテインG金コロイド(5nm)を用いた。免疫電顕下に金コロイド粒子と反応するウイルス粒子を観察し、HCV粒子の表面にE2/NS1抗原が分布していることを明らかにした。さらに金コロイドのサイズを変えることにより、E1抗原とE2/NS1抗原の重染色を行い、HCV粒子の表面にE2/NS1抗原とE1抗原はHCV粒子上にともに分布していることを明らかにした。ウイルスの中和抗体と考えられる抗HCV-E1抗体と抗HCV-E2/NS1抗体を用い、HCV粒子が免疫沈降しうるか否かをロシュ社のHCV-RNA定量キットをもちいて検討中である。免疫沈降物をネガティブ染色しHCV粒子の凝集像をとらえることを最終目標とします。
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