研究課題/領域番号 |
07807059
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
日比 紀文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50129623)
|
研究分担者 |
渡辺 守 慶應がんセンター, 診療部長(研究職)
相磯 貞和 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60138013)
石井 裕正 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20051500)
|
キーワード | エイズ / HIV / 経口免疫 / IL-7 / 腸管免疫 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
今回の研究は我々がこれまでrhesus monkey/SIVmacの系で追究してきたAIDSvirus構成蛋白の経口免疫によるvirus特異的CTLを誘導する新しい治療法の開発を念頭におき、その際問題となるAIDSenteropathyを、我々が最近明かとした腸管上皮細胞由来IL-7による粘膜内T細胞および上皮細胞の増殖調節機構の異常という面から追究する試みである。本年度の研究により、ヒト健常大腸上皮におけるIL-7の発現、産生および大腸粘膜内T細胞細胞表面上のIL-7receptorが確認され、局所由来IL-7介した粘膜内T細胞増殖調節機構の特殊性が示された。さらに、慢性炎症部大腸粘膜局所におけるIL-7を介した免疫調節機構の異常、特にIL-7蛋白の著明な減少が認められた。また、大腸上皮細胞株HT-29-18-N2におけるIL-7receptorの発現とIL-7による増殖、さらにIL-7のこの細胞株に対するHIV感染抑制作用が証明された。慢性炎症部大腸粘膜におけるIL-7およびIL-7receptor発現異常はAIDS enteropathyの部位においても起こっている可能性があり、IL-7は感染防御に不可欠とされるHIVspecificなCTLの活性化、増殖に重要な役割を果たしていると考えられることから、腸管局所にvirus特異的CTLを誘導する際問題となることが考えられる。さらに大腸上皮細胞へのHIV感染に対するIL-7の抑制作用が明らかとされ、現在腸管局所におけるIL-7の異常をどのように是正するかを追究している。
|