人好塩基球に細胞内潅流法によりCa^<2+>を持続的に適用すると1μMのCa^<2+>以上から脱顆粒がおこる。この濃度は生理的に得られるCa^<2+>濃度より高い。従って生理的にはCa^<2+>と共になんらかの因子が脱顆粒の際に作用している可能性がある。我々のこれまでの研究からGTP結合蛋白とprotein kinase Cが好塩基球からの脱顆粒に影響を与えている事が認められている。そこで今回脱顆粒に関連していると考えられるGTP結合蛋白であるrab 3Aの遺伝子発現について検討を加えた。同じGTP結合蛋白であるrhoに関しては技術的な解決が必要で今回はrab3Aの解析を行なった。すなわち、その遺伝子発現については、RTPCR法とSouthern blot法にて検討を加えた。またhouse keeping geneとしてβ-actinをRTPCR法にて解析した。protein kinase Cに関しては、そのCa^<2+>依存性のisozymeについて検討を加えた。すなわちそのisozymeであるα、β、γ、isozymeについては、マウスの抗protein kinase Cα、β、γ抗体を用いて免疫染色した。その結果rab 3Aは対照群の単核球においてはその遺伝子が発現されていたのに対して人好塩基球においては発現されていなかった。これに対してβ-actinの遺伝子は両者において同等に発現されていた。protein kinase Cのisozymeに関してはそのβ isozymeが強く発現され、αとγ isozymeはほとんど発現されていなかった。この結果は人好塩基球においてはrab 3Aの遺伝子は発現しておらずその顆粒放出に関与しているGTP結合蛋白はrab 3A以外のGTP結合蛋白の可能性があると考えられた。またprotein kinase C βはラットのbasophilic leukemia cell lineであるRBL2H3細胞において脱顆粒を促進すると報告されているので、人好塩基球においても脱顆粒を促進している可能性がある。
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