研究概要 |
本研究の目的は、自己免疫性神経疾患における免疫グロブリン遺伝子の可変領域(VH)に関するB細胞レパートリーを解明することにある。本研究における到達目標の第1点は、VH(各1-6)ごとのB細胞レパートリーをPCR-SSCP法またはCDR3-length法により明らかにするアッセイ方法を確立することであり,第2点は、自己免疫性神経疾患を対象に末梢血及び髄液中のB細胞レパートリーを検討することである。 平成7年度の研究により、まずlgM・lgG・lgAの各クラスの免疫グロブリン重鎖遺伝子をPCR法により増幅単離する条件を決定することができた。具体的には、まず末梢血より全RNAを抽出し、lgG・lgA・lgMのそれぞれのFc部分に特異的な下流プライマーを用いてcDNAを合成し、PCR法による増幅には、VH1-6に特異的な上流プライマーとFc部分のプライマー(特異性を上げるために、cDNA合成に用いた部分より内側のFc部分に設定)とを用いた。更に、ポリアクリルアミドゲル及び自動シークエンス機により、得られたバンドを展開することで、免疫グロブリン重鎖遺伝子のCDR3長を決定できることが判明した。 平成8年度は、CDR3長の解析法を完成させ、当初の計画に沿い、炎症性あるいはB細胞腫瘍性の神経疾患患者を対象にして、病変部位(髄液あるいは生検部位)と末梢血とで、免疫グロブリン重鎖のCDR3長を比較検討する予定である。
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