ヒトB細胞を細胞株した後、RT-PCR法により免疫グロブリン遺伝子重鎖の可変領域を形成する部分の塩基配列を決定する方法を確立した。自己抗体産生細胞として、慢性関節リウマチの滑膜組織由来のリウマチ因子産生B細胞を対象に免疫グロブリン遺伝子重鎖の可変領域の塩基配列を決定した。その結果、それらの可変部領域、特にCDR3(complement dtermining region 3)領域には多くの体細胞突然変異が導入され、自己抗体であるリウマチ因子の産生機転には免疫複合体など自己抗原による刺激が重要な役割を果たすことが明らかにされた。一方、免疫グロブリン遺伝子の産生制御機構のひとつに活性酸素の関与が示唆されている。またアポトーシスは変性疾患特に神経変性疾患で重要な役割を果たすと考えられている。L-DOPAは難治性神経疾患であるパーキンソン病の治療薬であるが、L-DOPAには自己酸化或いは細胞内での代謝過程で生じる活性酸素により、アポトーシスを誘導する可能性がある。今回私は、L-DOPAは主に自己酸化の過程における活性酸素の産生を介して、神経細胞株であるPC12細胞にアポトーシスを誘導することを、カタラーゼやsuperoxide dismutaseなど抗酸化物質によるアポトーシスの抑制実験や細胞死の過程における細胞内活性酸素量の変化を直接経時的に推定することで明らかにした。さらに免疫調節剤であるブシラミンにも銅イオン存在下でアポトーシスを誘導する活性があることを同様の方法により明らかにした。
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