研究概要 |
慢性心不全では血漿エンドセリン(ET)-1濃度が上昇し,血管収縮,心筋肥大と心不全増悪因子と考えられるが,ヒトで血漿ET-1上昇由来として肺血管床が主であり,肺血管抵抗と密接に関係があることを示した.さらに血漿ET-1濃度高値患者で予後が悪いことを証明した(Am J Cardiol 1995;76:803-808).これらの事実は内因性ETが,心不全の病態生理に深く関与していることを示唆している.本年度は高頻度ペーシングにより作製した心不全犬を用いて心不全で上昇するANPとET-1の相互作用を検討した. その結果,犬心不全モデルでは,心不全で同時に上昇する内因性ANPによりET-1産生が抑制されることをANP特異的拮抗薬(HS142-1)を用いて証明した(Am J Physiol 1996;270:H1819-1824). これらの事実はANPの心不全代償機序としてET-1産生の抑制も重要であることを示唆している.
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