本年度は、ビ-グル犬4頭で、微小冠動脈枝造影とマイクロスフェア-充填法による微小血管容積分布評価を併用する実験プロトコールを行なった。麻酔し、左鎖骨下動脈から左冠動脈前下行枝にバイパス路を作成する。beselineおよび冠動脈血流量を減少させた状態で、ヨード造影剤(イオパミロン3ml)をバイパス路内に注入して、第二および第三対角枝とさらにそれから分岐する心筋貫通枝の選択的造影をおこなった。4頭中2頭では、造影後、Br(ブロム)をラベルした非放射線マイクロスフェア-(直径15μm)1-5*10^8個をバイパス路内に注入し、心筋貫通枝の冠微小血管枝を非放射性マイクロスフェア-で充填した。他の2頭では直径60μmのZr(ジルコニウム)をラベルした非放射性マイクロスクフェア-を注入した。実験終了後、心臓を取り出しホルマリン液中で1週間かけて固定した。対角枝に沿って左室前壁心筋を厚さ1mm毎に切り出し、これを可動式の標本台に取付けX線蛍光強度の2次元マッピングを行なった。局所の蛍光X線強度を局所重量(コンプトン散乱の強度で代用する)と励起X線強度(弾性散乱強度)で補正し平均値にたいする蛍光X線の相対強度を算出した。蛍光X線の相対強度分布からコンピューター(設備備品欄参照)上で2次元画像を再構築し、微小冠血管枝造影所見と比較し、両者がよく一致することを確認した。一部の標本から厚さ20μmの組織切片を作成し、顕微鏡写真の撮影と蛍光X線強度の2次元マッピングを行い、2次元画像と顕微鏡写真を比較し、両者がよく一致することを確認した。次に、心筋標本ごとに補正した蛍光X線の相対強度のヒストグラムを心筋内層、中層、外層ごとに作成し、直径15μm以上の微小血管容積の分布と、直径60μm以上の微小血管容積の分布の部位による差を確認した。
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