我々はすでに毛隆起の特性として、メルフル細胞が多数局在することを見い出した.この点について注目し、光顕しべしで毛隆起を詳細に観察した.この過程においてヒトの頭皮のterminel heiv follicleに従来記載のない特異な構造物を見い出した.胎生期から成人を通して存在し、このような所見をpocket like structureと名付けた.次にこの構造物の意義について検討を加えた.特にアポトーシスに注目した.アポトーシスをおこしている細胞をApop Tag Kit (Oncor社)を用いて、single cellレベルで切片上で同定する方法を行なったところ、これまでは毛組織の退行期から休止期への過程にアポトーシスが関与すると考えられているが、これに一致する所見のみならず、成長期の毛隆起にも散在性に認めた.一部には集塊となって存在した.このように毛隆起におけるアポトーシスの出現は我々が初めて見い出したものであり、pocket like etructureはこのアポトーシスの最終産物が貧食された後の構造物と考えられた.同時に行なった透過電顕による観察でも、毛隆起において電顕的にもアポトーシスの所見に一致する像をえた.以上の如く毛隆起におけるアポトーシスの存在を明らかにしえた.
|