リボフラビンにUVA照射すると強い細胞障害性が出現し、この細胞障害性はカタラーゼにより消失した。従って、この細胞障害性のほとんどの部分は過酸化水素によるものと思われた。このことは、産生された過酸化水素と同濃度の過酸化水素溶液で細胞を処理した場合の細胞障害性とほぼ同程度であったことからも確認された。過酸化水素濃度の定量は、西洋わさびペルオキシダーゼへの過酸化水素の結合がその吸収波長の変化をもたらすことから測定し得た。低酸素条件下でリボフラビンへのUVA照射を行うと細胞障害性は強く現れた。リボフラビンへのUVA照射による過酸化水素産生は、低酸素下では大気下でよりも早いが、照射初期での産生が多いことによるものであることが明らかとなった。十分量のUVA照射を行うと、酸素条件にかかわらずほぼ同量の過酸化水素産生が見られた。 リボフラビンにガラスフィルターを通して水銀ランプを照射し、発生するラジカルをスピン捕捉剤DMPOを用いて検出すると、ヒドロキシラジカル・リボフラビンラジカル・スーパーオキシドが検出された。ヒドロキシラジカルは照射初期に多く、リボフラビンラジカルは照射後2分以降ほぼ一定の産生が見られた。 リボフラビン存在下でエラスチンをUVA照射あるいはエラスチンを過酸化水素処理すると、エラスターゼの分解速度で見る限りこれらの処理による作用は認められなかった。エラスチンをエラスターゼで分解した後に一ヶ月間過酸化水素処理すると、可溶性エラスチンは構造変化を示した。この速度は、過酸化水素濃度の高い方が速かった。この変化は無処理の可溶性エラスチンの自然的変化を速める方向に作用した。
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