研究概要 |
本研究では、ジョロウグモ毒素アナログ(1-NA-Spm)、NBQXなどの非NMDA型受容体拮抗薬とMK-801,CPPなどのNMDA型受容体拮抗薬を用いて、けいれんあるいはてんかんにおける非NMDA型受容体、NMDA型受容体の役割をあきらかにし、ジョロウグモ毒素の抗てんかん薬としての可能性を探ることを目的とした。 本年度は、聴原性てんかんモデル動物に非NMDA型受容体拮抗薬、NMDA型拮抗薬を投与し、発作に与える影響について検討した。 われわれは、これまで新生仔期に一過性低甲状腺状態を経験したラットが成熟後に聴覚刺激によって疾走発作と全般性強直間代性けいれん発作を起こすことを利用して、聴原性てんかんモデルとして研究を行ってきた。われわれは、propylthiouracil(PTU)を経母乳的に新生仔期ラットに投与し、同モデルを作成した。PTUラットは成熟後ほぼ100%聴原性発作を起こし、聴原性てんかんの機構を探るには好個のモデルである。PTUラットの蓋板槽にポリエチレンカニューレを留置固定し、各薬剤の投与経路とした。NMDA型拮抗薬であるMK-801は、疾走発作、強直間代性ケイレン発作の両方とも、抑制したが、非NMDA型拮抗薬のNBQXは疾走発作には影響を与えなかった。また、正常ラット蓋板槽内に、同様にカニューレを固定し、NMDA型、非NMDA型受容体拮抗薬を投与した実験の結果、疾走発作についてはNMDA型とAMPA型の両方が関与し、全般性強直間代性けいれんにおいてはNMDA型受容体が重要な役割をしていることが明らかになった。
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