新規変異リコンビナント活性タンパクの性質を調べ、新たな変異タンパクの探索も行った。そしてCXGXCモチーフの重要性を明らかにし、さらにコンピュータグラフィックでその立体構造を解析し、活性との比較から新機能探索への足掛かりとした。1.新規リコンビナント糖タンパクの性質-変異TSH(α鎖:CMGCC領域)について-変異α鎖と正常β鎖から得られた変異TSHについてTSH免疫活性をみると、正常、変異(CRGCC)では活性があり、変異(YMGCC)、(CMRCC)、(CMACC)、(CMDCC)では失活していた。2.類似新規リコンビナントタンパクの性質-変異コレラトキシン(B鎖:CAEYH領域)について-正常A鎖と変異B鎖から得られた変異コレラトキシンの生物活性をみると正常や変異(CAGYH)では活性があり、変異(CARYH)では失活していた。3.新規変異糖タンパクの探索-異所性hCGについて-下垂体腫瘍(末端肥大症)の1例で異常高値を示したhCG免疫活性について血清希釈実験、標準hCG添加回収実験から非特異干渉は否定され、hCGまたはhCGβの可能性が示された。4.コンピュータグラフィックによる糖タンパクホルモンの立体構造-例としてhCGα鎖CMGCC領域をみると、活性のある(CRGCC)では構造をとるが、活性のない(CMDCC)では取り得ないことが推定された。今後さらにエネルギー計算などにより、詳細な変異糖タンパク構造と機能が明確になることが期待される。
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