研究概要 |
ラット胎仔の後腎を糸球体形成前(14日目)からほぼ完成する時期(20日目)までの種々の時期で採取し,無血清培地を用いて6日間器官培養し,隔日で培地の交換を行なった。培養上清のVEGF濃度をELISA法で測定した。 糸球体形成前に比べて形成が進む時期に採取した腎からのVEGFの培地への放出量は多く,また培養により尿細管の分化が進むにつれてVEGFの培地への放出はふえた。培地中のVEGF濃度は50-550ng/mlであり血管内皮の増殖をおこすには充分であると考えられた。以上をまとめると (1)糸球体の形成期にVEGFが腎で作られ細胞外に放出された。 (2)放出量は尿細管の形成に比例して増えた。 この結果から,発生期の後腎で尿細管の形成が進むにつれてVEGFの産生が増し,血管新生を誘導し糸球体形成に関与することが強く示唆された。
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