研究課題/領域番号 |
07807110
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
沖野 孝 京都大学, 医学研究科, 助手 (50263083)
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研究分担者 |
今村 正之 京都大学, 医学研究科, 教授 (00108995)
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キーワード | 腫瘍抗原 / MAGE遺伝子 / ペプタイド / 特異的免疫療法 / 樹状細胞 / HLA-A2 / 消化器癌 / GM-CSF |
研究概要 |
現在まで検討した担癌患者は乳癌10例、食道癌31例、膵癌4例であり、主要組織適合抗原のクラス1は陽性であったが、HLA-A1陽性患者はなかった。MAGE遺伝子発現は、乳癌患者ではMAGE-1陽性1例(10%)、MAGE-3陽性3例(30%)両者とも陽性1例(10%)、食道癌患者ではMAGE-1陽性7例(23%)、MAGE-3陽性14例(47%)両者とも陽性3例(10%)、膵癌患者ではMAGE-1陽性1例(25%)、MAGE-3陽性2例(50%)両者とも陽性1例(25%)であった。MAGE-1に対する抗体を用いたウエスタン解析では乳癌の1例を除きその他の腫瘍は陽性となり、遺伝子発現との一致が見られた。患者の予後との関連においては、症例の追加にもかかわらずMAGE-1 & -3遺伝子両者を発現するものは有意に予後は良好であった。本年度はMAGE-3由来ペプタイド(FLWGPRALV for HLA-A2)を用いてまずHLA-A2 & MAGE-3陽性の食道癌患者末梢血リンパ球とペプチドパルス抗原提示細胞との混合培養系よりペプチド特異的にTNF産生を行うポピュレーションを誘導した。ついで自己腫瘍、アロの食道癌細胞株、アロの乳癌細胞株に対する細胞障害活性を測定し、HLA-A2 & MAGE-3陽性の食道癌細胞株に対してHLA-A2特異的に障害活性を示した。現在クローニングを行い特異的なCTLcloneのT細胞受容体のレパトワを決定すべく進行中である。マウス基礎実験(Balb/cマウス)では、2種類の同系腫瘍(MOPC104E & MethA)を用いて、脾細胞から誘導した培養APC(GM-CSF 2000U/ml)を腫瘍抽出抗原として、前年度の超音波破砕腫瘍抽出抗原から一歩進めて、熱ストレス蛋白であるglucose-regulated protein 94を腫瘍細胞より抽出し、単独投与とパルスした培養抗原提示細胞投与との比較を行い、皮下投与したのち腫瘍を皮内投与することにより、腫瘍特異的なprotective immunityの誘導を証明した。
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