ラット肝虚血モデル、ラット肝移植モデル及びマウスエンドトキシンショックモデルを作成し、抗細胞間接着分子抗体及びKupffer cell blockadeの効果について検討した。肝虚血を90分行うとラットは全例死亡し、抗ICAM-1抗体+抗LFA-1抗体投与は生存率を57%まで増加させた。又、虚血肝への白血球の集積を抑制し過酸化脂質生成を抑制し、肝エネルギー代謝を改善させた。マウスエンドトキシンショックモデルに対しても抗接着分子モノクローナル抗体をエンドトキシンと同時に投与すると投与効果が認められた。しかし、抗LECUM-1モノクロナール抗体をエンドトキシンショックが起こった後に投与してもその効果は弱く、新しいモノクローナル抗体を開発中である。ラット肝移植実験では、肝臓をUW液で24時間保存しプロテアーゼ・インヒビターを添加したリンス液を用いて、ラットの肝移植実験を行ったところ、単独ではその効果を認めなかったが、ドナー肝のKupffer cellの機能を抑制する目的で塩化ガドリニウムを併用したところ、生存率の著明な改善を認めた。現在、肝移植実験でのモノクローナル抗体投与実験をおこなっている。以上の結果、虚血及び保存後の肝再潅流障害にKupffer cellの活性化と、それに引き続いておこる白血球が関与することが明らかとなった。
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