研究概要 |
1993年に広島県の数カ所の病院で集めた179strainsのMethicillin-Resistant Staphylococcus aureusについてmec regurator genes mec R1 and mec Iの分布を調べた。集めたMRSAはCoagurase TypingとTSST-1,enterotoxin産生性により分類した。24株のRCR probeを用いたsouthern blot hybridizationではmec Aと5'end of mec R1 geneは全ての株で認められたが、mec R1の途中から3'end of mec R1 geneが欠失している株とmec Iまですべてを持っている株の2種類に大別された。Coagurase TypingとTSST-1,enterotoxin産生性により分類した株は、coagulase IV型enterotoxin A産生型(IV A type)以外は同一のmec R1-mec Iパターンを持っていた。mec I geneを持っている株では、N315と同じようにmethicillin MICが低い株と、high resistantの株の2種類が認められた。high resistantの株ではmec I geneにpoint mutationが認められたが、methicillin MICが低い株にはなかった。mec I geneが欠失した株とmec I geneにpoint mutationが認められた株では、mec A geneの転写のbasal levelが上昇していた。しかし、mec I geneが欠失した株とmec I geneにpoint mutationが認められた株ではmethicillin resistantではあるが,耐性度は中等度から高度耐性まで様々であり,耐性度の差をこれらの遺伝し変化のみで説明することは不可能であった.MRSAの高度耐性化の機序は別の遺伝子変化によるという報告があるが,この度の検討においてもmec R1 and mec Iの遺伝子変化のみで耐性度の差を説明することはできないと思われた.
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