研究概要 |
【目的】初代培養肝細胞を用いたハイブリッド型人口肝臓の研究開発が進んできている。しかし初代培養肝細胞は、通常の培養条件では数週間程度しか維持させることができず、次々と死滅していく。また初代培養肝細胞は安定供給も難しく、これらのことが初代培養肝細胞を用いたハイブリッド型人口肝臓作製にあたっての大きな制限となっている。私は、アデノウイルスベクターを用いるとラットおよびサル初代培養肝細胞にSV40初期遺伝子を導入、形質転換させうること、長期培養、不死化さらに大量培養が行えることを見いだした。今回同様の方法によりヒト肝細胞の不死化(平成7年度)およびこれを用いたハイブリッド型人工肝臓の作製を試みた。【方法および結果】1.組替えウイルスベクター感染後のSV40T抗原一過性発現率:T抗原陽性率はMOI 100では約20%,MOI 10では約4%,MOI 1では0.5%以下であり、MOIに依存性であった。2.組替えウイルスベクター感染後の形質転換コロニー形成率:MOI 100で組替えベクターをヒト肝細胞に感染させ、この状態で3-4週間培養を続けると10^6個に対して約100個の形質転換コロニーが出現した。3.長期継代培養と不死化:SV40初期遺伝子導入ヒト肝細胞をbu1k状態で長期継代培養したところ12ケ月以上にわたって良好に増殖を示しており不死化したと考えられる。このようにして継代培養した肝細胞にSV40T抗原の免疫染色を施行したところ、殆どの細胞でSV40T抗原が陽性であった。またアルブミンの免疫染色では細胞質に局在が観察された。4.Urea合成能・チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)活性:長期継代培養していくと、経時的にurea合成能およびTAT活性の低下が認められた。5.3次元培養:今回用いた培養条件は、不完全であったと考えられ安定した大量培養が行い得なかった。【結語】組替えウイルスベクターを用いると効率よくヒト肝細胞へのSV40初期遺伝子導入、形質転換が可能であり、単層培養では不死化および大量培養が行えた。
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