研究概要 |
胆管癌に発現が高いMUC1に対する抗体MUSE11と坑CD3抗体(OKT-3)および坑CD28抗体(15E8)から化学的に合成した2種類のBispecific抗体とeffector細胞としてのLAK細胞を用いて、胆管癌細胞株TFK-1を標的細胞としてMTT法にて細胞傷害活性を測定した。作成した2つのBsAbは分子量約100kDaであり、MUC1とCD3およびCD28のそれぞれ2つの抗原決定基を同時に認識する合成抗体であることをFACSにより確認した。in vitroにおける細胞傷害活性はE : T=5 : 1, MUC1XCD3 BsAb 0.5 μ g/ml添加群およびMUC1XCD3・MUC1XCD28 BsAb 0.5 μ g/ml併用群ともにそれぞれ59, 61%の細胞傷害性を示した。治療モデルとしては胆管癌細胞株5X106個を皮下移植したSCIDマウスに、10日後から尾静脈経由でLAK2 X 107個とrIL-2500IUを同時に連続4日間静注した。MUC1XCD3 BsAb添加群に比較して、MUC1XCD3およびMUC1XCD28 BsAb併用群では、移植後60日で67%の著名な腫瘍増殖抑制効果が確認された。MUSE11を用いたBsAbによる養子免疫療法は、LAK細胞にターゲッティング性と抗腫瘍効果の増強を誘導し、十分な効果が期待できないとされた胆管癌など悪性腫瘍への免疫療法の臨床応用に道をひらくものと思われる。
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