研究概要 |
1.Lactobacillus casei(YIT9018)が膀胱癌の発癌抑制効果を示したことより、それ以外の乳酸捍菌株について膀胱発癌阻害効果の有無を検討した。まず最初は、Concanavalin Aによる膀胱粘膜上皮細胞の凝集反応の有無によりプロモーター作用制御の有無について検討した。調査した乳酸捍菌株は、YIT9018,YIT9029,YIT0159,YIT0232,YIT4065,YIT4007およびY92014の計7株である。このうちYIT9029(BLP)は現在までにプロモーター作用の抑制効果が確認されているのみならず、BBNによる発癌系にても発癌抑制効果が確認されている。今回の検討では前回と同様にYIT9018(BLP)投与群では顕著なプロモーター作用抑制が認められた。そのほか、YIT0159,YIT4065およびY92014投与群では明かな抑制効果が認められたが、YIT0232,YIT4007およびYIT9029は有意な抑制効果を示さなかった。このうち、YIT9029とYIT9018は、遺伝子的には非常に近い関係にありながら、抗プロモーター効果では全く相反する効果が示された。このことに関連して現在,BBNを用いた発膀実験系で発癌抑制効果の差異についての検討を開始した。 2.喫煙と膀胱発癌の関係は疫学的事実であるが、今回、喫煙により尿中発癌因子が検出されるか否か、また検出されるとすれば,BLP内服にてそれが減弱されるかどうかを検討した。結果は未だprimitiveであるが、喫煙により尿中に大腸菌突然変異原物質が増加することと、一部の被験者においては、それがBLPの内服により減弱されることが観察された。
|