前年度で生じた問題点として 1)モルモット専用固定器がなく猫用のもので代用しているため、実験動物の固定が非常に不安定である。このためプローブもしくは電極をsterotaxicに目的とする解剖学的部位に正確に刺入することが難しい。 2)解剖学的部位より抽出された神経伝達物質を測定する際に用いる高速液クロマトグラフィーが、老巧化のために信頼性が乏しい。 の2点が上げられたが、これは本年度でも解決されなかった。したがって本年はクロライドチャンネルにGABAと協調的に働くdiazepamが中枢聴覚路に与える影響を検討した。これはわれわれの耳鳴に関する臨床的研究から、GABAとdiazepamの双方を耳鳴患者に併用投与した場合、diazepam単独投与の場合より耳鳴抑制効果が強いという事実に基づいた実験である。 実験動物はモルモットを用い、気管切開口より挿管した後、ハロセン麻酔を行った。さらにベンチレーターにて呼吸管理を行った。下丘は頭頂葉を吸引除去し、また蝸牛神経核は小脳の吸引除去することによってそれぞれを明視下に置いた。また音刺激は外耳道より挿入した中空イヤバ-により与えた。タングステン双極電極によって得られた、下丘および蝸牛神経核からの聴性誘発反応を、以下の(1)〜(5)の条件下で導出し、それぞれで得られた誘発電位を比較した。 (1)対照1(静注なし)、(2)対照2(生食静注後)、(3)GABA単独投与後 (4)diazepam単独投与後、(5)GABA+diazepam投与後
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