研究概要 |
本研究の目的はヒルシュスプルング病無神経節腸管における外来神経の増生の原因をHPC-1をマーカーとして探究することにある。HPC-1は神経特異的蛋白質として発見され、神経発芽(文技形成)を制御すると考えられている。しかし腸管神経系での局在に関する報告は極めて少なく、まず、基礎実験として腸管神経系での存在を詳細に検討し報告した(第32回日本小児外科学会総会で発表)。さらに発生過程での発現様式をラット胎児を用いて検索した(第33回日本小児外科学会で発表、JSmooth Muscle Res,33:61-66,1997)。その後の研究でHPC-1は神経のみではなく、exocytosis(開口放出)を示す組織に広範に分布していることが判明し、exocytosis関連蛋白として神経系での神経伝達物質の放出もコントロールしていることが明らかとなった。そこでこれら放出関連蛋白質の正常およびヒルシュスプルング病での腸管神経系での局在を検討したところ、正常腸管神経系では検索した6種類の蛋白質すべてが明瞭に認識されたのに対し、ヒルシュスプルング病無神経節腸管ではHPC-1の染色性は正常部に比較し著しく低下していた(第40回日本平滑筋学会総会で発表)。HPC-1は神経の発芽(分枝形成)を制御していると考えられており、この蛋白質が無神経節部で低下していることは、すなわち、分枝形成が促進している状態にあるとも考えられ今後も検討を進める予定である。
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