研究概要 |
平成7年度に行った3人の鼻咽腔閉鎖不全症患者を対象にした試験的研究によって,スピーチエイド(軟口蓋挙上装置)装着下でのCPAP療法による鼻咽腔閉鎖機能賦活化の可能性が示された。平成7年度には,いわゆる境界線上の鼻咽腔閉鎖不全症に対して用いるPLP装着症例による検討であったため,実質的鼻咽腔閉鎖不全症に対して用いるBulb-PLPの装着症例については,装置装着下でのCPAPの効果は不明であった。 そこで,本年度(8年度)は,バルブ型のスピーチエイドの一種であるBulb-PLP装着症例を対象に,スピーチエイド装着下でのCPAP療法による鼻咽腔閉鎖機能賦活化の可能性が示唆されるかを,平成7年度同様,実験的CPAP負荷装置を用いた鼻腔内陽圧負荷時における口蓋帆挙筋活動の変化を検討した。その結果,PLP装着症例での結果と異なり,bilb-PLP装着症例では負荷した鼻腔内陽圧と口蓋帆挙筋活動は必ずしも相関することは無かった。 このことは,CPAP療法が,スピーチエイド装着症例全てに適応できるものではなく,スピーチエイド非装着症例を対象にしたCPAP療法の結果から導出された適応性とは異なり,鼻咽腔が物理的に狭小化されている症例にCPAPが適応できるのではなく,軟組織によって鼻咽腔が狭小化されている必要があることを示唆するものである。 平成9年度は,Bulb-PLP症例の被験者を増やすことにより,本年度に至った仮説を更に検証すると共に,PLP症例を対象にして実際のCPAP療法を臨床適用し,その結果を検討する予定である。
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