研究概要 |
血小板凝集反応に血小板膜上の細胞接着因子(GMP140,GPII/GPIII)の関与が、また血管内皮細胞への粘着反応に内皮細胞膜上のセレクチンの関与が明らかにされている。本研究担当者はトロンビン等の刺激による血小板凝集反応と異なり、PAF刺激により惹起された血小板凝集魂は血小板のレセプターに結合したPAFを特異的PAFアンタゴニストにより解離させると脱凝集する現象を初めて見出た。この結果はPAF刺激で惹起された凝集反応に関わる細胞接着因子の細胞膜上での発現が可逆的な機構に基づくことを示唆するものであった。これまで明らかにされている血小板細胞接着因子(GMP140,GPII/GPIII)のみでこの現象は説明出来なかったことから、ウサギ血小板で免役したマウス脾臓細胞から常法に従い抗体産生細胞をクローニングし、血小板凝集阻止活性を有する抗体産生株(YMY2-73)を樹立し、腹水より精製したモノクローナル抗体はk鎖を持つIgG2aタイプであった。この精製抗体をHITrap NHS活性化カラムに結合させ、CHAPSで可溶化したウサギ血小板膜蛋白質画分を吸着させるアフィニティークロマトグラフィーで、血小板細胞細胞接着因子を濃縮した。この濃縮細胞接着因子画分をラクトペルオキシダーゼを用いてヨード化反応を進め、前記ノモクローナル抗体、Biotin-F(ab')_2ウサギ抗マウスIgG(H+L)と反応後にアビジンアガロース懸濁液を加え、免疫沈降反応でヨード標識細胞接着因子を濃縮した。この標識接着因子画分がSDS-PAGEで分離後、バイオイメージングアナライザー(BAS 2000)で検出し、放射活性が120kDa,110kDa,30kDaに認めた。現在これら蛋白質の蛋白化学的性状について検討している。
|