1.加圧型培養装置を用いた培養条件の検討 寒天培地に移植初期のタバコ培養細胞(100ml三角フラスコを使用)を標記培養装置の槽内に置き、各種加圧条件(急速な加減圧を繰り返す〜長時間かけたゆるやかな加圧、減圧)にさらした後、通常の培養室(大気圧、25℃、暗所)で培養した。培養初期には、急速な加減圧にさらしたものはゆるやかな加減圧にさらしたものよりも成長が芳しくなかったが、最終的にはほぼ同様な成長を示した。植物培養細胞はこの程度の圧力変化(±1kg/cm^2)には耐える(死滅しない)と考えられる。 つぎに、通常のジャーファーメンターと圧力以外の条件をそろえて培養を行い比較した。培養細胞としては、ツキヌキユ-カリ、薬用ニンジン、コーヒーなどを用いた。加圧することによる成長の変化は見られなかったが、溶存酸素濃度は理論的には2倍になるはずであり、培地成分の連続添加により、培地体積あたり(培養容器あたり)の最大到達培養物重量の増加が期待できる。ただし、移植する培養物の培養状態については加圧型の培養装置の方が敏感であり、対数増殖後期のものの移植が必要である。 2.加圧下で培養した植物細胞および組織の二次代謝産物生産の変化について 培養物の二次代謝産物生産については、今年度検討できなかった。加圧・減圧によるストレスによる代謝物パターンの変化、生産物の透過性の変化、酸素濃度の上昇による代謝物の酸化度の上昇などが期待され、培養細胞・組織による生産と平行して、植物変換についても同様に検討していきたい。
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