ヒト糖尿病における血管障害を、血小板による血管障害が引き金であるとして、試験管内で、その病変開始の場の再構築を行なった。変量濃度のグルコース存在下で無刺激血小板細胞障害反応を行なった。この時、標的細胞が血小板細胞障害反応感受性ヒト腫癌細胞株(アラキドン酸代謝経路産物依存性感受性株 K562細胞、一酸化窒素合成酵素依存性感受性株LU99A細胞)であっても、非感受性株(MIAPaCa-2細胞)であっても、非感受性であるヒト正常大動脈血管内皮細胞、ヒト正常末梢微小血管内皮細胞においても、その感受性に差は無かった。しかし、高濃度(10mg/ml)のグルコース存在下で、これらのヒト正常血管内皮細胞を一定期間培養し、障害反応に用いると、障害反応感受性となっており、末梢微小血管内皮細胞ではアラキドン酸代謝経路産物依存性に一部なっていた。一方、動物実験の可能性を探るために、KKA^yマウスとストレプトゾトシン処理マウスを用い血小板細胞障害反応を行なったところ、正常マウスと同様な標的細胞の感受性(Sq-1797細胞、B16細胞)、非感受性(NFSa Y83細胞、BALB/3T3clone A31細胞)が認められた。以上、本研究により、糖尿病性血管障害における血小板の関与を証明するための基礎、及び方法論が確率された。
|