研究概要 |
本研究の目的は,これまでの看護系学校における情報科学教育を見直すとともに,今後の看護実践・教育・研究に必要とされるネットワークの活用を含めた情報科学の知識・技術の内容や範囲を再検討し,看護学生のための情報科学教育方法ならびに教育システムを考案することにある。 平成7年度は,情報処理に関する授業科目の履修者や講習会参加を対象に,「情報処理に関する調査」(調査A)を実施するとともに,「簡易ネットワーク演習システム」を構築し,実際の情報処理教育に利用して,調査(調査B)を実施した。 調査Aは,情報処理を履修した看護系大学2年生を対象にした調査,統計学の授業にコンピュータの導入を試みた看護専門学校の1年生を対象にした調査,情報管理研修会に参加した保健婦を対象にした調査である。これらの調査から以下のことが明らかになった。 1.情報処理科目の履修者の調査では,56%が内容が難しいとし,易しいは6%であった。さらに,約70%が授業の進め方が早いと回答していた。このことから,30時間程度の情報処理教育では学生は不消化に終わることが少なくないことが示唆された。 2.未履修者の調査から,授業以前に情報・情報科学・コンピュータ等を「少しは知っている」とした者は18%であった。授業に対しては,期待している者が54%,できれば学習したくない者が11%であった。学習意欲を喚起する方法を検討する必要があろう。 3.講習会の調査では,パソコンを使った経験がある者は36%と少なかった。 調査Bでは,学生は「簡易ネットワーク演習システム」を利用したコンピュータの操作においては問題点はほとんどないが,ネットワークの概念や構築については,理解し難いようであり,これに対応した教育方法をさらに検討する必要があることが再確認された。
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